下野牧の野馬土手〜小金牧の残光

下野牧は小金牧のうち、船橋市二和、三咲をはじめ鎌ケ谷市、八千代市、習志野市、千葉市まで広がっていた牧です。野馬土手は船橋市や鎌ケ谷市、千葉市に残っていますが、都市化に伴い急ピッチで消滅しています。
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■船橋市と鎌ケ谷市の市境の土手


 船橋市と鎌ケ谷市の市境の鎌ケ谷五丁目にある野馬土手です。「鎌ケ谷五丁目ふれあいの森」という緑地にあり、脇の道に沿って伸びていました。ただ、随分風化、あるいは崩壊が進んでいるようです。



 ふれあいの森の土手を道沿いに北東に延長したところにも野馬土手が残っていました。こちらも青木更吉先生の『野馬土手は泣いている』の載っていましたので、簡単に見つけることができました。

 これらの土手は、この北側の船橋市咲が丘にあった下野牧の大込(おおこめ)・捕込(とっこめ)から伸びていた野馬土手の名残りだそうです。捕込は野馬を閉じ込めて捕まえるための施設、大込はその前段に野馬を追い込むための空間だったようです。



 その捕込があったのはこの辺りです。捕込を形成する土手は一部残っていたとのことなので、写真の右側に写っている土手が気になります。ただ、これが捕込の土手かどうか、残念ながらよく分かりません。


■二和小学校の南側の土手


 船橋市の二和(ふたわ)小学校の南側に残る下野牧の野馬土手です。青木更吉先生の『野馬土手は泣いている』によると、小金牧のうち5番目に素晴らしい土手だそうです。

 この土手は二和と三咲(みさき)の境界に沿って走っています。本当に驚くほど立派。土手の両側は道路になっており、まさに道路を二分する堂々たる野馬土手です。

 ところで二和と三咲も小金牧(下野牧)だったところが開墾されて生まれた土地です。ですから、この土手は小金牧と農村を隔てる土手ではありません。『野馬土手は泣いている』によると、この土手は野馬を捕込(とっこめ)へと追い詰める勢子土手とのことです。


■高根台第二小学校の土手


 船橋市の高根台第二小学校に残る野馬土手です。土手は高さこそありませんが、校内に約75mが残っています。本来は南東方向の習志野台第一小学校近くまで役700mの土手だったとのことです。


■捕込の近くの民家の庭に残る土手


 野馬を捕まえて、徳川幕府の軍馬としたり、農耕馬として村々に払い下げたりする捕込は、。小金牧を構成する下野牧などに必ず一つはありました。 では、下野牧の捕込はどこにあったのか。上記の二和・三咲の土手の北側の船橋市市咲が丘だそうです。上の写真は、そのすぐ近くに残る野間土手です。民家の庭に残る土手ですので、場所は特定しないでおきます。


■大穴北五丁目の土手


 船橋市大穴北五丁目に残る野馬土手です。人目につく処にありますが、極めて分かりにくい土手です。土手の高さがなく、草茫々であるため、なかなか野馬土手と確認することができませんでした。ただ、青木更吉先生の『野馬土手は泣いている』に「墓地の東を巻いて駐車場とお墓のところで終わっている」との記述があり、それが決め手となって野馬土手と確認することができました。


■大穴南二丁目の土手


 船橋市大穴南二丁目の二つの道路に挟まれた林に残る野馬土手です。林の中のため分かりにくいのですが、音楽教室の駐車場のところから、それらしき土手と堀を見つけることができます。青木更吉先生の『野馬土手は泣いている』によると、土手が低く堀が目立つために地元の人たちは「ヌマボリ(ノマボリ)」と呼ぶそうです。


■船橋市郷土資料館に面した土手


 船橋市薬円台の野馬土手です。船橋市郷土資料館の南側の正面に小規模な土手が残っていました。実は、郷土資料館には以前、立派な野馬土手があったそうです。青木更吉先生が選ぶ野馬土手ベスト10で8位にランクされる土手でしたが、道路拡張工事のため跡形も無く消えてしまいました。

 近くの船橋日大前駅にも、10位にランクされた野馬土手があったのですが、こちらも宅地造成で完全に消滅しました。とても残念なことです。詳しくはこちらで。


■小金牧最南端の土手


 千葉市作新台にある小金牧最南端の野馬土手です。いつもながら青木更吉先生の著書『野馬土手は泣いている』で確認して、探してみました。

 小金牧の南端の下野牧の野馬土手はどんどん消滅してますので、まだあるのか不安でした。で、たどり着いてみると、なんか土手のような、そうでないような風情。野馬の水呑み場の看板があったので、おそらく間違いないと思いましたが、イマイチ確信が持てませんでした。



 で、中を覗いてみると・・・おおっ、まごうことなき二重土手、間違いなく野馬土手です。これが最南端の野馬土手です。ところで、野馬の水呑み場ですが、『野馬土手は泣いている』によると、小金牧最大の水呑み場だったそうです。



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