旧吉田家住宅 〜平安時代から続く旧家の邸宅
吉田家は江戸時代の花野井村(現・柏市花野井)の名主にして、小金牧の牧士の家系です。牧士とは小金牧を管理し、農民でありながら乗馬や苗字帯刀を許され
た人々です。しかも、醤油醸造家としても成功した東葛地域の名士。相馬一族の出で、平安時代から続く家系によると現在のご当主は43代目だそうです(驚)
さて、この旧吉田家住宅は柏市の指定文化財です。2004年にその吉田家から柏市に寄贈され、今まで一般公開に向けた準備が進められていました。主屋の茅葺と長屋門が見事で、いつ
公開されるのかと首を長くして待っておりました。
「旧吉田家住宅歴史公園」として一般公開されたのは2009年11月3日、文化の日です。それにしても寄贈から公開まで5年もかかりました。柏市の学芸員の方に聞いた話では、いくら人が住んでいた家でも、一般公開となると補強工事とかで時間がかかるようです。それに茅葺だと、建築基準法や消防法の関係で指定文化財といえども、いろいろと手続きが大変のようです。
これが長屋門です。長屋門は本来、武家屋敷の門で、門の両脇に部屋があり門番らが詰めていました。苗字帯刀を許された名主らも長屋門を造ることを許可されていましたので、旧千葉一族、相馬一族の流れを組む豪農の多い東葛地域には、数多くの長屋門が残っています。その中でも、この吉田家の長屋門は見事です。
素晴らしく重厚な主屋です。主屋には家人が出入りする土間があり、そこには囲炉裏。この囲炉裏は、かつてあった場所に復元したそうです。玄関は別にあり客人が来た時にだけ使われたと
か。その横に庭に張り出した茶室があります。そして茶室の窓には、下から2段目左の写真のように年代ものの波打つガラスが(これも旧家の基本ですね、笑)
主屋の隣りには客人用の書院があり、主屋とは渡り廊下でつながれていました。主屋は質素、客間は贅を凝らすというのも、豪農かつ名家の基本のようです。玄関から書院にかけての釘隠しが本当に素晴らしいです。
書院にかけられていた掛け軸は、なんと佐賀藩の勤王の志士にして、明治維新後は外務卿として辣腕を振るった副島種臣の書です。この人、書家としても有名なのですが、現物を見るのは旧吉田家住宅が初めてでした。