200年以上続く東葛印旛大師の結願



 2010年5月1日のことです。この日は旧沼南町の布瀬の谷津田を訪ねました。ここは、この前の木曜日に行った師戸川沿いと並び、東葛・印旛地域で最も美しい谷津と谷津田が広がる場所です。

 そうしたら、白装束の大集団に遭遇しました。よく見ると僧侶の方も何人かいらっしゃいます。「南無・・・」とまるで歌うかのような唱和に合わせて、皆さんがこちらへやって来られます。ひょっとして、これは・・・。

 「何のご一行ですか」。列の最後尾の方に聞くと、「弘法大師さまだよ」との答え。おお、やはり東葛印旛大師講、いわゆる「送り大師」の皆さんです。柏、 鎌ケ谷、松戸、印西、白井の八十八か所の札所を巡る団体巡礼です。東葛・印旛地域の季節の風物詩として有名な伝統行事ですが、私は初めて拝見しました。

 「ついてきなよ」と声を掛けていただいてので、喜んでお供に。プチ巡礼です(笑)。しばしの間でしたが、自転車を押して歩きながら、いろんな話を聞くことができました。




 なんでも東葛・印旛地域の各地区が回り持ちで世話係(結願区)となって、毎年5月にお遍路巡礼を行っているそうです。今年の結願区は、柏市の箕輪とお隣の五條谷とのこと。お話を聞いたオジサンは箕輪の方でした。

 今年で202年目だそうです(驚)。ただ、東葛・印旛地域は最近ベッドタウン化が進みましたので、いろんな面で運営が大変なようです。柏の市街地を練り歩 いてると、あやしい集団と間違えられて、警察に通報されたこともあったとのこと。オジサンいわく「でも、俺たちの代で絶やすわけにはいかないからね」

 5月5日が最後の結願だそうで、別れ際に「ぜひ見に来いよ」とオジサン。もちろん行きますとも。ということで5日、結願を拝見しに行きました。5月1日から5日間の八十八か所巡拝(お遍路巡礼)のフィナーレです。会場となるお寺は柏市箕輪の如意寺です。




 ここが会場の如意寺です。前の道には屋台も出ており、すでに多くのお遍路の方が到着していました。私が如意寺に着いたのは11時です。ちょうど「稚児行列が出発して、こちらへ向かいます」のアナウンスがありました。ちょうど、これからがメインイベントのようです。




 まずは法螺貝の音と共に露払いが到着。




 そして、その後から子供たちの一団がやってきました。花笠(?)を被った子供たちは、とてもキュートでした(笑)




ちなみに稚児行列と言っても、子供たちだけで練り歩くわけではありません。周りを親御さんが固め、もう結願区の皆さんは家族をあげての大イベントのようです。




 稚児行列の後は、僧侶の方々の行列が続き、最後に如意寺のご住職、そして厨子に納められた弘法大師像がやってきました。このように大師像を担いで札所を巡ることから、「送り大師」と呼ばれるとのことです。




 その大師像が寺院の中に納まり、皆さんが般若心経を唱えて無事結願と相成りました。この後は、感謝状や表彰状の贈呈、皆さんの挨拶、そして結願区の引き 継ぎなどが行われた結願式でした。ちなみに、来年の結願区は柏市の高柳だそうです。

 いやぁ、本当に素晴らしい伝統行事を拝見させていただきました。信仰心の薄い私には「お大師様とのご縁」は結べないでしょうけど、送り大師のご一行に偶然出会ったご縁に感謝です。



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