上花輪歴史館〜野田の醤油造りの元祖




 上花輪歴史館はもともとキッコーマン創業家の一つ、高梨兵左兵衛門家の旧邸宅です。というか、野田の醤油造りの元祖と言える家ですね。旧・上花輪村の名主にして、醤油醸造を家業にしていました。歴代当主は「兵左兵衛門」を名乗り、現在まで続く野田の名士です。

 その旧邸宅が上花輪歴史館として以前から公開されていたのですが、2011年3月まで改修のため5年間(!)も閉館していました。で、ようやく3月10日に公開を再開したのですが、翌日の東日本大震災の影響で再び閉館。4月からようやく庭園と展示棟だけは見ることができるようになりました。場所はこちらです。

 入館料は500円。最初、これは高いと思いましたが、入ってみて庭、というか屋敷林の素晴らしさに感動。人により価値観に違いがありますので、一概には言えませんが、私は「これは、元が取れた」と思いました。




 いやぁ、庭園、その中でも屋敷林がとにかく素晴らしい。ここが野田の市街地なのかと思うほど森は深く静かでした。拝観料の関係もあってか来館者も少ないため、気持ちの良い静寂を堪能することができました。ただ、夏に来ると蚊柱が立ちそうですが(笑)

 ちなみに、この庭(というか屋敷全体)は国指定の名勝だそうです。国指定の名勝と言えば、宮城の松島や茨城の偕楽園など全国に多数ありますが、千葉ではここだけだそうです。




 その庭の中には神社などが散在していました。上段の写真は稲荷神社。そして中段左が神楽殿(!)、その右が馬頭観音の石塔。下段左が霊神様で、右は松尾 大社です。松尾大社と言えば醸造の女神で、醤油や酒の醸造家が必ず祀る神様ですね。それにしても、ここは本当に個人の庭だったのでしょうか(驚)




 このモダンな建物は展示棟です。中には貴重な絵図や看板、圧搾機などが展示してありました。内部の写真撮影はNGです。




 冒頭に書いた理由で、邸宅の内部は見学できませんでしたが、台所と下部屋は見学できます。写真は下部屋で、いわゆる「じいやさん」が住み込んだ建物で す。出入りの植木職人なども泊り込んだらしく、展示してある調度はなかなか趣がありました。なんか懐かしい雰囲気をかもし出していました。

 邸宅の内部の見学ですが、館員の方に聞いたところ、再開は2012年3月だそうです。5年間かけて改修したのに、さらに1年かける。時間の流れがここだけ違うみたいです。で、その料金ですが、お抹茶が付いて1500円。1年後に再び自分の価値観が問われそうです(笑)




 そう言えば、高梨家の醸造所はどこにあったのだろうと思ったら、西側にある広大な駐車場がその跡地だそうです。どうりで、数十台が止められそうな駐車場で広すぎると思っていました。

 野田の市街地は上花輪歴史館のほかにも、醤油醸造の歴史に関わる建物や史跡が数多く残されています。豪邸も散在しており、人呼んで「醤油工場のある葉山」だそうです(笑)。ご関心のある方は私のブログ「東葛人的道楽」のこちらこちらのエントリーをご参照ください。



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